3月28日、一時的に1ドル125円という6年7ヶ月ぶりの円安水準となりました。
1日で3円も円安になった訳ですが、その決定打になったのは日銀による「指し値オペ」です
今回は金融政策の中でもレアな施策、指し値オペについて
●指し値オペってなに?
●何のために行う?
●通常の買いオペとの違い
●今回の指し値オペの背景
など、ざっくりまとめてみました
とっつきにくいテーマですが
この円安は結構重大なことなのでご覧いただけると嬉しいです💡
Contents
■物指し値オペってなに?目的は?
中央銀行が指定した利回りで無制限に国債を買う、金融政策の具体的な施策のひとつです。
前回行われたのは2018年7月なので、久しぶりに発動されました。
主な目的は「長期金利上昇の抑制」です。
日銀がこれ以上長期金利が上がるのを防ぎたい、という際に発動されます。
■なぜ、長期金利の上昇を抑えたい?
ざっくりですが、景気後退を未然に防ぐためです。
長期金利は企業や個人が銀行から融資を受ける際の金利に結びついています。
長期金利の基準は「10年国債の利回り」です。
直近で10年国債利回りの上昇が続いていましたが、それは長期金利の上昇を意味し、日銀はこれを容認できず指し値オペを発動させ、金利上昇にブレーキをかけました。
■通常の買いオペとの違いは?
中央銀行が債券を購入することを「買いオペ」と言います。
通常の買いオペと指し値オペの違いについては以下になります。
「利回りを指定」して債券購入するということは、その「利回り以上の金利上昇を容認しない」という強い意思の表明になります。
低金利を維持するという強い意思表示をすることで、市場をけん制することが、通常の買いオペとの違いになります。
■今回の指し値オペの背景・現在の状況
米国を中心とした先進国ではインフレなどを起因とした金融政策正常化の中で初回国の金利が上昇してきました。
日本の金利も上昇するか注目が集まる中、日本の国債も売り圧力が続き長期金利である10年債利回りが上昇。
日銀ではかねてから10年債利回りの許容上限を0.25%と表明しており、今回その上限に到達したため指し値オペが発動されました。
指し値オペの発動は「日本は低金利を維持する」という強い意思表示です。
お金というのは金利の低い国の通貨から、金利の高い国の通貨に流れていきます。
指し値オペの発動により、昨年より続いていた円安がさらに進んだかたちとなりました。
■生活レベルで考える円安のデメリット
ここまで指し値オペについてと、指し値により加速した円安についてお伝えしました。
最後に円安の影響を生活レベルで考えてみたいと思います。
①食品、ガソリン代、電気代などの高騰
日本は食料、エネルギーともに輸入依存度の高い国です。
海外から食料や小麦、石油やガスなどの資源を輸入しますが、円安の場合これらを輸入するコストが上昇しますので、最終的にはそれぞれの値上がりとなって消費者に跳ね返ってきてしまいます。
②コロナ明けのレジャーに重荷
コロナが明けたら国内外問わず旅行に行きたいという方も多いと思いますが、そういった方々にとって円安は痛手となります。
1ドル125円ということは1ドル100円の時よりも1.25倍の円を必要するという意味です。
海外旅行が仮に3,000ドルかかった場合、1ドル100円の時は30万円ですが、1ドル125円の場合は37.5万円かかることになります。
そして円安だけでなく、海外の物価上昇も痛手となります。
米国ではコロナ前の20年1月から現在にかけて物価が約10%ほど上昇しています。
この間、ドル円は約15%円になっています。
つまり、円安と物価を加味すると アメリカ旅行を楽しむ場合コロナ前に比べて約25%、つまり1.25倍のコストがかかるということになります。
では国内旅行はどうか?というと国内旅行でもコスト増になってしまいます。
なぜかというとコロナが明けた場合、外国の方にとって円安の日本はコスパ最強の旅行先になるからです。
これがなぜ国内旅行でもコスト増になるかというと、ホテルをはじめとした旅行価格全体が訪日外国人によって引き上げられるからです。
外資系をはじめとした高級ホテルは日本人でなく海外のリッチ層に標準を合わせて価格設定をしています。
京都やニセコなど海外の方に人気の高い地域はその特徴も顕著です。
高く払ってくれる訪日外国人によって業界全体の価格が引き上がりますので、国内旅行といえど円安の影響は大きいということになります。
■通貨分散の重要性
現在の円安は米国と日本との金利差によるところが大きいです。米国がより金利を上昇させていけば円安はさらに進行し、2002年につけた135円まで迫る可能性もあるかもしれません。
円安が進んだ際、外貨を持っている方はその外貨を円に替えることでより資産を増やすことができます。(もちろんその逆も然りですが)
自分の資産は円だけでいいのか?
一度考えてみることも大切かもしれません。