世界の主要国で物価が大きく上昇しています
得にアメリカでは、21年12月の物価上昇率が前年同月比で7%という、39年6カ月ぶりの、非常に強い物価上昇率になります。
物価の上昇が続くと、国民の生活負担が重くなっていきます
アメリカをはじめとした世界の中央銀行では、こういったインフレを抑制するために政策金利の上昇、すなわち利上げへと舵を切り始めている状況です。
今回は「なぜ、インフレ抑制で金利をあげるのか?」
という そもそも的な疑問についてしっかり理解するために
●物価はどうやって変化するのか?
●良いインフレ、悪いインフレの違いってなんだっけ?
という経済の基本から、丁寧にお伝えしていきます。
Contents
■物価はどうして変わる?
物価は需要と共有のバランスで決まります。
供給が需要を上回っていると物価が下がりやすくなる。
これを「デフレ圧力がかかる」と表現します。
需要が供給を上回っていると物価が上がりやすくなります。
「インフレ圧力がかかる」と表現します。
■需要と供給はどんな影響で変わる?
上記のとおり、物価は需要と供給のバランスで変化します。
では、需要と供給はどんな影響で変わるか、代表的要因を並べてみました。
需要の大きさは景気や消費意欲などで変化し、供給の大きさは主に物の不足具合や流通事情で変化します。
そして物の製造や販売にかかる原材料や人件費のコストや、金利などの通貨や為替の変動は、需要と供給どちらにも影響を与えます。
需給のバランスはこれらが複雑に作用しあって形成されます。
■良いインフレ 悪いインフレ
さて、物価上昇を意味するインフレには「良いインフレ」と「悪いインフレ」があります。
物価が上がると聞くと、良いことなんかないと思う方もいるかもしれません。
しかし、物価の上昇と同時に賃金も上昇すればそれは良いことだと思うのではないでしょうか?
一方、物価ばかり上がり賃金が上がらない場合は生活が困りますね。
このように、インフレには良いパターンと悪いパターンがあるということです。
賃金が上昇する国には優秀な人材が集まり、他国に対する競争力が高まったりするなど、中長期的な経済成長にとってプラスになります。
■良いインフレはどんな経済効果がある?
良いインフレは 強い需要を原因としてもたらされることが多いです。
その流れをみてみましょう。
景気が良く人々の消費意欲が強い場合、需給の関係により物価は上昇します。
上昇した価格は企業の売上増 → 労働者の所得増加に繋がっていきます。
所得の増加は再び消費意欲の上昇に繋がっていきます。
このように健全な要因による需要牽引型のインフレは良い経済循環を生み出すといわれています。
■悪いインフレはどんな原因で起こる?
一方、悪いインフレは供給側の問題を原因として起こることが多いです。
具体的には人手不足や原材料価格などの「コスト要因」です。
上記のようなコスト側の原因による物価上昇は一般的に悪いインフレとされています。
物価上昇の要因には、人手不足による賃金上昇、原材料価格の上昇、為替によるコスト上昇など様々あります。
これらは相互に関係し合うので1つの要因が他の要因を誘発することも多く、対応が遅れるとインフレが加速してしまいます。
■なぜ、インフレ抑制で金利をあげるのか?
話を冒頭に戻しましょう。
お伝えしたようにインフレは様々な要因変化します。
現在アメリカを中心に起きているインフレは、経済再開に伴う
・サプライチェーン問題
・労働力不足
・原材料価格の高騰
などを主な要因としています。
これらの解決には時間を要しますし、1国だけの問題でないため政府や中央銀行の政策で速やかに解決できるものではありません。
つまりコントロールが効きにくい要因が多いということです。
しかしインフレを放置することはできないため、中央銀行がコントロールできる金利調整からのアプローチでインフレを食い止めようと試みているわけです。
■インフレ抑制に金利調整が有効なメカニズム
金利を上げることが、どのようにインフレ抑制に作用するのか。
簡単にまとめてみました。
政策金利が上がると銀行の預金利率なども上昇します。
金利が高くなると人々の心理に変化が生じ、リスクをとって運用する額が減り、預金額の上昇に繋がっていきます。
結果、市中からお金が少なくなり、社会全体での消費活動が弱まっていきます。
消費、つまり需要が減少することで需給の関係から物価は下がりやすくなる。
つまりインフレにブレーキをかけられると期待されるということです